ある日リリーさんが「洗濯機の手許が暗くて」と言うので見に行ってみると、洗濯機のボタンの所に蝋がポタポタと垂れて固まっているのです 「何をしたの?」と聞くと「暗いから明かりをつけたのョ」と。いつの時代まで遡ったのでしょうか。わたしは、さっそくピンクの可愛い懐中電灯を買ってきて、スイッチの場所や置いてある場所を教えましたが、数日すると部屋の片隅に転がっているのです。
仏壇の蝋燭に灯をともしたりするのも畳にマッチのこげた跡があったりして、とても危険です。
そんなこんなで火を使うリリーさんに不安をおぼえてきました。火事 になったら…火傷をしたら…そこで兄と相談してガスはやめて電磁調理器を使うようにと勧めました。でも、歳とって認知症になっているリリーさんには、新しいことや新しい物に適応することができません。たった1個のボタンを押すだけなのですが…
そして夜は配達のお弁当 がくること、昼はヘルパーさんに買ってもらうこと、お湯は電気ポット が沸かしてくること、電子レンジもあるし、ご飯 は電気釜が炊いてくるることをゆっくり話しました。1番言いたかったことは、これからはガスではなく安全な電磁調理器を使うこと、そしてガスの元栓を閉めることでした。
私は浅はかにもリリーさんを説得しようとしたのです。リリーさんは、「そうね。そうしましょう。」と素直に言ってくれました。意外に簡単な成り行きにアレッ!という感じでしたが、さっそくガス栓をしめました。
(うすうす気付いていたのですが)絶対に納得していないだろうな。 兄にもガス栓を閉めたことを知らせておきました。とりあえず、今日は火事になる危険性が少し減ったかなと安心したのです。
翌朝、「やっぱりガスじゃないとダメよ。」とか「何かガスがつかないんだけど。」と言ってくるのではと思っていたのですか、リリーさんから音沙汰がありません。「あらあ、結構大丈夫なのかしらね。」と思っていました。
ところが、数日後リリーさんの家に行ってみるとガスの元栓が開いています。「どうしたの?」と聞くと「アーやっぱり不便だからお兄ちゃんに開けてもらったの。」と平然と言うのです。
私がこんなに火について心配しているのになんで簡単に元栓を開けるのか。兄にはことわったのに、と怒り がこみあげてきました 。
そんな時ケアマネの言っていた言葉を思いだしました。
「お兄さんとあずさんでは、リリーさんの認知症に対する理解に温度差がありますよね。」と。
ケアマネや主治医色々な手続き、連絡はすべて私のところにくるので兄にとっては今いち実感がわかないのでしょう。
そこで、私は兄に分かってもらう為には、兄に全てを任せてしまおうと決意しました。
全ての連絡が兄の所に行くように手配し、リリーさんから何か相談されてもお兄さんに聞いてみてというようにしました。
そうすると、不思議なことに私の肩の重荷がスルスルととれ、リリーさんの話もニコニコと聞けるようになったのです。そして、時々かかってくる兄嫁からの報告や相談の にものめりこみすぎずに落ち着いて聞いていられるのです。アー兄もこんな感じで一歩離れて見ている感じだったのね。と少し兄のこともわかるようになりました。 テーマ:認知症を介護する家族の悩み - ジャンル:福祉・ボランティア
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