ボケかけ母との            ハラハラドキドキ心模様
認知症と診断された80才の一人暮らしの母と娘の日常生活。そして、ふらふら揺れる家族の心と不安定な母の気持ち、泣いたり笑ったり怒ったり、そしてポジティブに暮らしていく現在進行形のお話。
老人ホーム
私とリリーさんの主治医は、同じ先生です。その先生からある日「リリーさんは、そんな遠くないうちに施設に入ったほうがよいと思うよ。」とお話しがありました。「施設というと?」と私。「老人ホームですね。」「どうしてですか?」「大分痴呆がすすんでいるし、1人では暮らしていけないでしょ。インスリンの注射をうったり、薬も飲まなくてはいけないし。そういうことを忘れたりするわけだから。とにかく、すぐに施設に入れるわけではないから、見学して予約してきたらどうですか?」そういわれた私は『はい、そうですか。』とスグには行動できません。

老人ホームに申し込むなんてそんなこと勝手にしてよいの?リリーさんが知ったらどう思うだろう。まだ元気で活発なお姉さま方(リリーさんの)は絶対なんか言ってくるだろうな。リリーさんをいざホームに入れるとなったら どうやってリリーさんを説得したらいいのだろう。世間の人にも酷い娘だと思われるなどと考えながらケアマネに相談しました。

ケアマネは、「リリーさんはかなり痴呆がすすんできていますよね。例えば、私達とのお金のやりとりでも渡しているお釣りを受け取っていないとか。インスリンの注射もうち忘れたりしていますから。まだまだ初期ですけど、悪くなるばかりでしょう。施設もスグには入れる訳ではないので、予約はしておいたほうがいいですよ。」と。

それでも考えあぐねる私です。何をこんなにためらうのでしょう。ゆずにも「どうするのかをハッキリ決めるのは、家族なんじゃない。ケアマネは困るんじゃない。方針を決めて相談しないと動き出しようがないわよ。」と言われてしまいました。
そこで、兄に相談することにしました。不思議なことに先生もケアマネも、兄か私のどちらかに引き取って面倒をみたほうがよいとは言わないのです。それぞれの家庭の事情があるのだからと…。兄も自分で引き取るとは言いません。私が面倒をみるというべきなんじゃないかと頭をかすめたりもしますが、それは、無理です。自分が無理をし我慢をして全てを引き受ければ、大変になった時辛くなった時、人を恨んだり、リリーさんを憎らしく思ったりするのがわかります。誰かが手伝ってくれないとか、誰もわかってくれないと思うものです。そして、私まで身体をこわしては結局回りの人皆に迷惑なのです。それなら、施設に入ってもらって時々ニコニコとリリーさんに会う方が良いに決まっています。見栄や体裁で自分もリリーさんも不幸にしてはいけないのです。それは、兄にとっても、兄嫁さんにとっても同じことでしょう。

そんなわけで、兄と二人で施設を見学することにしました。ケアマネに老人ホームのリストを作ってもらい、インスリンの注射をしていても入所できるのかどうかを聞いてもらい、利用料も相談しながら見学候補を決めていきました。そんな話しをしながらケアマネとも段々仲良くなります。よく話しを聞いてくれて、とても頼りになるケアマネです。
「お兄さんとは、リリーさんの痴呆についての認識に随分温度差があるわよねえ。」なんて話しにもなります。「歳をとると、急に大人しくなってタダにこにこしている人と、急に自己主張のはげしくなる人との二通りにわかれるのよ。リリーさんは、すっごくハッキリしてきちゃったみたいねえ。」とか。

かくて、ケアマネにリストアップをしてもらい、わたしが電話で予約をし兄と二人で老人ホーム見学をすることとなったのです。


プロフィール

あず

Author:あず
ただいまセラピールームOpen Your Heart ユーリアを開設し、共同経営者セラピストゆずと共に夢と希望にむけて歩んでいるところです。

〜ゆず&あず流〜 人生捨てたもんじゃない!
ある日突然認知症と言われた母、それを聞いた私は、否認・怒りそして受容へと前進していけるのでしょうか…



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