ボケかけ母との            ハラハラドキドキ心模様
認知症と診断された80才の一人暮らしの母と娘の日常生活。そして、ふらふら揺れる家族の心と不安定な母の気持ち、泣いたり笑ったり怒ったり、そしてポジティブに暮らしていく現在進行形のお話。
わくわくのデイケアサービス
渋っていたリリーさんもデイケアサービスに通い始めました。

初日は、自己紹介からです。介護士さんたちに促されて、リリーさんは自己紹介を始め、東京大空襲のことを質問されては答えたりしたそうです。皆さん同じ年頃で戦争の経験もあるので共感されたり、東京のことは知らないからと熱心に聴いてくれたりと、なかなか気分の良い一時だったようです。デイケアの食事は、自分ひとりで作るのでは、到底できない細かな気配りのきいたおいしいものでした。それにオヤツまで出るのですもちろん手作りで。コーヒーと紅茶どちらかを選ぶことも出来るのです。それだけでも1人1人を大切にしてくれているなあと感心します。私達の想像している老人施設とは大分違うようです。
午後は、レクリエーションの時間です。粘土で自分の好きなものを作り、それが嫌いな人は朗読を聞いたりするのです。朗読は“向田邦子さん”の本や“源氏物語”などリリーさんの好みにピッタリとはまりました。まずは、第1日目のデイケアはリリーさんの期待を裏切りませんでした。

私達・家族は、少しでもリリーさんの気分がまぎれることを喜びました。イエイエ本音は…そう私の本音は、毎日暇なリリーさんが『今日は娘が来てくれるか?明日もくるかしら?』と思い、毎晩「元気だった?今日は何していたの?」と電話をかけてくる。そんなことが減るんじゃないかと淡い期待をいだいたのでした。『少しは私以外のことを考えて〜』と結構切実に思っていました。ー世の中はそんなに甘くないのですがー

暫くの間は、今日は合唱をしたとか、お習字を習ったとか、ご飯に何が出たとか、オヤツがおいしかったとか喜び、足取りも軽く、楽しそうでした。まるで学校に通っているように、私に「真面目に行ってきたわよ。」とか「さぼらずに通っているわよ。」と報告するのです。

80才近くてもリリーさんの価値観は、学校にキチンと通うというところにあるようです。
デイケアは、遠足みたいなこともします。といっても…学生の遠足とは違い初詣に行ったり、ファミレスにお茶を飲みに行ったり、醤油工場の見学をしたり、博物館に行ったりと無理のないように気分転換が出来るものです。そういう日は、お手伝いの人が沢山いて車椅子に乗る人が多くても皆優しく押してくれるそうです。

そうこうしているうちに、リリーさんは合唱する時に歌詞がわからないからと前もって歌詞を書いてもらい練習するようになりました。もう一日は、習字を習うので筆と墨汁を買い家で練習も始めました。こんなところに昔の努力家の優等生のリリーさんがモクモクと頭をもたげてくるのです

確かに一日家でボーっとしているより、何かやることが出来た方がイキイキと一日を過ごし、ボケの進行もゆっくりのような気がします。このままいけば何かが変わるかもしれないという安心感も束の間…

何回行っても友達が出来ないとか、本当は歌なんて好きじゃないとか言い始めました。まるで、新学期にクラスが変わって好き子と一緒になれなかった子供のようです。
『アーそうですかっ!』と言いたくなるのをグッとこらえて、だからといってなだめる訳でもなく、ただ聞いているのみなのですが…

リリーさんは、それから色々理由をつけては、デイケアを休むようになりました。休んではいけないという訳ではないのですが。誰かが楽しませてくれるのをヤハリ待っているのでしょうか。

リリーさんの一言  ああいう所にくる人ってすぐグループつくるのよ。やあよ〜


プロフィール

あず

Author:あず
ただいまセラピールームOpen Your Heart ユーリアを開設し、共同経営者セラピストゆずと共に夢と希望にむけて歩んでいるところです。

〜ゆず&あず流〜 人生捨てたもんじゃない!
ある日突然認知症と言われた母、それを聞いた私は、否認・怒りそして受容へと前進していけるのでしょうか…



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